スタンフォードのストレスを力に変える教科書
▶︎ストレスは“悪“とされることが多く、それを避けるためにはどうすればよいか、という考えの書籍、論文は多い。
そうではなく、“ストレスを受け入れ向き合うことが成長へと繋がる”と著者の心理学者:ケニー・マクゴニガル氏は仰っている。
私達はストレスとどのように付き合っていけばよいのか?
ストレスについてどう思うかを簡潔に表すのしたら、あなたにはどちらの表現がしっくりくるか。
A ストレスは健康に悪いから、なるべく避けたり減らしたりして管理する必要がある。
B ストレスは役に立つから、なるべく受け入れて利用し、うまく付き合っていく必要がある。
○タバコの警告表示はなぜ逆効果か?
イェール大学の研究では、中年の男女を20年にわたって調査した結果、中年期に年齢を重ねることをポジティブに捉えていた人達は、ネガティブに捉えていた人達よりも、平均寿命が7.6年も長かった。
運動を欠かさず、タバコも吸わず、血圧もコレステロール値も正常値を保つなど、健康維持のために重要なことを守っていても、そのような節制をしない場合との平均寿命の差は、4年未満であることがわかっている。
物事に対する考え方が大きな影響を及ぼす事を示すひとつの例は信用である。「ほとんどの人は信用できる」と考えている人は、長生きする傾向にある。
デューク大学が15年かけて行った研究によると、55歳以上の成人で「人を信用できる」と思っていた人達の60%は、15年後の研究終了時にも生存していた。それとは逆に「人は信用できない」と思っていた人達の60%は、研究終了時にはすでに亡くなっていた。
タバコの警告表示の画像を載せるのは、禁煙の効果があるどころか、画像を見て恐怖に襲われ、不安な気持ちを落ち着かせるためにかえってタバコを吸いたくなってしまう。喫煙者はただ恐怖から逃れようとするだけだった。
○恥をかくと「自己破壊的な行動」に走ってしまう
肥満の女性達に「肥満の従業員らに対し、雇用主による差別待遇が始まっている」という内容の記事を読ませた。すると、その直後の実験で、全く別の職場問題に関する記事を読んだ肥満女性達に比べて、2倍のカロリー量のジャンクフードを食べていた。
恐怖、不名誉、自己批判、恥ーーそのようなネガティブな感情を人々に抱かせれば、問題行動に走ってしまう。
警告のメッセージを受け取った者は、打ちのめされ、憂鬱になり、自己破壊的な行動に走る。
○ストレスは人を成長させ、健康で幸せにする
ストレスは人を賢くし、強くし、成功へと導く。人はストレスの経験から学び、成長することができる。そして、勇気や思いやりを持つこともできる。
「ストレスは健康に悪い」と思うと死亡リスクが高まる。
○どうでもいいことにはストレスを感じない
「ストレスとは、自分にとって大切なものが脅かされたときに生じるものである」
すなわち、「ストレスと意義とは密接な関係にある」
1.すべては思い込み
「ストレスは役に立つ」と思うと現実もそうなる
合気道は、対立から生じる力を調和する力に変えるという原則に基づく武道である。
その概念とは「ものごとについてどう考えるかによって、そのものごとから受ける影響は変化する」という考えである。
マインドセットは、あなたの現実を形づくる考え方のことで、目に見えるような体の反応にも影響を及ぼす。
それだけでなく、マインドセットは長期的な健康や、幸福感や、成功にも影響する。
さらに重要なことに、考え方を変えるための簡単な介入実験にたった一度参加するだけで、そのあと何年にもわたって、参加者の健康状態や幸福感が向上し、成功する可能性が高くなることが、科学の新しい分野であるマインドセットの研究によって、明らかになっている。
肥満の人を
A「この仕事は良い運動になる、ということをカロリー表示にして説明した群」
B「健康のために運動がいかに重要か、と説明した群」
のふたつのグループに分けて同じ仕事に取り組んでもらった。
4週間後には、
A群は、体重・体脂肪減少、血圧も下がり、仕事を以前より好きになっていた。
B群には健康効果が見られなかった。
説明後、A群に起きた変化は「自分は運動している」と思うようになったことだけである。
つまり、
「ふたつの効果が想定される場合(今回は運動によって健康効果が現れると思うか or 作業によって体に負担がかかると思うか)、その人がどう思っているかによって、どちらの効果が表れるかが決まる」
言い換えれば「思った通りになる」ということである。
○「考え方」でストレスホルモンの分泌が変わる
コルチゾールとデビドロエピアンドロステロン(DHEA)のふたつのストレスホルモンがある。両方ともストレスを感じた時に副腎から分泌されるホルモン
・コルチゾール:糖代謝や脂質代謝を助け、体と脳がエネルギーを使いやすい状態にする。また、消化や生殖や成長など、ストレス時にはあまり重要でない生物機能を抑える働きもある。
・DHEA:神経ステロイドの一つ。脳の成長を助ける男性ホルモン。DHEAはストレスの経験を通じて脳が成長するのを助ける。また、コルチゾールの作用を抑制し、創傷の治癒を早め、免疫機能を高めるなどの働きがある。
コルチゾールの割合が高いと、免疫機能の低下やうつ病などの症状が表れる可能性がある。
DHEAの割合が高くなると、不安症、うつ病、心臓病、神経変性など、ストレスに関連する様々な病気のリスクが低下する傾向がみられる。
ストレス反応の「成長指数」
→コルチゾールに対するDHEAの割合。
成長指数が高い、つまりDHEAの割合が高いと、ストレスに負けずに頑張れる。
・「成長指数」が高い大学生の場合、努力をいとわずに粘り強く勉強し、GPA(成績平均点)のスコアも高い傾向が見られる。
・軍隊のサバイバル訓練では、「成長指数」の高い人は集中力が高く、問題解決能力に優れ、集団から脱落せず、訓練終了後も心的外傷後ストレスの症状が表れにくい傾向が見られる。
・「成長指数」が高い人は、児童虐待から立ち直るなど、きわめて苛酷な経験からも回復する傾向が見られる。
「ストレスには良い効果がある」と考えた人はDHEAの分泌量が多く、「成長指数」が高くなっていた。
○思い込みは雪だるま式に増大する
思い込みの効果は、プラセボ効果よりも強力で、「マインドセット効果」と呼ばれる。プラセボ効果が短期的にある特定の効果のみをもたらすのに対し、マインドセット効果の及ぶ範囲は雪だるま式に増大し、ますます威力を増しながら長期的な影響をもたらす。
マインドセットになるような思い込みは、単なる好みや、学術的な事実や、知的な意見を超越している。
マインドセットはあなたの人生観を反映した中心的な信念になる。あなたが自分の経験をどのように受け止め、どのような決断を下すかに、大きく影響する可能性がある。記憶や思いがけない状況や、誰かの言葉などがきっかけとなって、自分の中の思い込み(マインドセット)が強化されると、考え方も、感情も、人生に対する向き合い方も、ことごとく左右されるようになる。やがてそれが、健康や幸福や寿命といった長期的な結果にも影響してくる。
ストレスに対してネガティブな人の行動
・ストレスに向き合おうとせず、ストレスの原因についてなるべく考えないようにする。
・ストレスの原因に対処せず、ストレスを紛らわそうとする。
・ストレスを紛らわすために酒などに逃げたり、依存したりする。
・ストレスの原因となっている人間関係や役割や目標に対して、努力したり、意識を向けたりするのをやめる。
ストレスに対してポジティブな人の行動
・強いストレスを感じる出来事が起きた事実を受け止め、現実として認識する。
・ストレスの原因に対処する方法をしっかり考える。
・情報やサポートやアドバイスを求める。
・ストレスの原因を克服するか、取り除くか、変化を起こすための対策を講じる。
・困難な状況をなるべくポジティブに考え、成長する機会として捉えることで、その状況において最善を尽くす。
アドレナリンやコルチゾールなどのストレスホルモンは、筋肉と脳がエネルギーを効率よく摂り込み、利用するのに役立つ。“火事場の馬鹿力”は「闘争・逃避反応」の一つである。
10代のふたりの少女が、重さ1.3トンのトラクターを持ち上げて、下敷きになっていた父親を救出した例がある。
ストレスによるエネルギーは、行動と脳を活性化させる。エンドルフィン、アドレナリン、テストステロン、ドーパミンなど何種類もの脳内化学物質が分泌される。このような状態をストレスの「興奮と喜び」の効果と呼ぶ科学者もいる。
ストレス反応によって生じるオキシトシンは、脳の恐怖反応を鈍らせ、体が動かなくなったり、あるいは逃げ出そうとすることを防ぐ。また、心臓血管にも効果的であり、心臓にはオキシトシン専用の受容体があり、心臓細胞の再生や、微小損傷の修復に役立つ。
ストレス反応はレジリエンスのために体に備わっている機能である。
身体は回復のためにさまざまなストレスホルモンの力を借りる。
コルチゾールとオキシトシンは炎症を抑え、自律神経のバランスを整える。DHEAと神経成長因子は、神経の可塑性を高め、脳がストレスの経験から学ぶのを助ける。
ストレス時にこれらのホルモン分泌量が多い人は、回復が早く、疲労が長引かない傾向にある。
ストレスからの回復プロセスは、瞬間的なものではない。強度のストレス反応が起こったあとには、脳は数時間かけて神経細胞間の結合を「再配線」し、ストレスの経験を記憶し、そこから学ぼうとする。このときのストレスホルモンは、学習と記憶をつかさどる脳の領域の働きを活性化させる。
感情に伴う神経系の反応は、脳の可塑性を高める。
心理学ではこれを「ストレス免疫」と呼ぶ。
○ストレスを避ける代償
ストレスを避けようとすると、充実感や人生に対する満足度や、幸福感が、著しく低下してしまう。
また、孤立する可能性が高まり、「つながり」や「帰属」の意識が薄れていく。
さらに心身の疲労困憊につながる。
スイスのチューリッヒ大学の研究では、「ストレスを避けたい」と答えた学生は、集中力、体力、自制心の低下が著しかった。
またアメリカのカルフォルニア州パロアルトで実施した1000人以上の大規模研究では、「ストレスはできるだけ避ける」と答えた人たちは、その後の10年間でうつ病になった確率が高かった。また、職場や家庭での争い事も増え、失業や離婚などの辛い経験をした確率が高かった。
心理学ではこれを「ストレス生成の悪循環」という。ストレスを避けようとしたことが皮肉な結果を生む。
心理学者のRichard Ryan、veronica futa、Edward L deciの論文集「幸福の探求(The Exploration of Happiness)」では、「ひたすら快楽のみを求め、痛みを避けようとする人には、深みや意味に欠けた、仲間のいない人生しか手に入らない」と述べている。
→代償を確認する
1.機会を逃す
イベントや活動に参加する機会や、役割を引き受ける機会があっても、ストレスが多すぎると思って辞退したりわ途中でやめたりすることがあるか?
2.逃げる
生活のストレスについて考え、様々な感情が湧いてくるのを避けたり、忘れたりしたい時や、辛い気持ちを紛らわせたい時、あなたはどんなことをするか?あるいはどんな手段に頼るか?
3.自分の将来に限界を設ける
もし生活にストレスが生じるのを恐れさえしなければ、やってみたいことや、経験してみたいことや、受け入れたいことや、変えたいことがあるか?
▶︎ 能動的か受動的か。
あらゆる問題、事象に対してどのように捉えるかは本人次第。
能動的な人は打開策を見出すことを諦めず前を向き、受動的な人は周りの環境に流され自分の意思とは無関係に現況に左右される。
○ストレスに強くなるとはどういうことか?
→「ストレスによって成長する勇気」
ストレスに強くなるというのは、ストレスを感じたときに、「勇気」や「人との繋がり」や「成長」という人間ならではの底力を、自分の中に呼び覚ますことである。
ストレスを避けることではなく、ストレスを経験する中で自分自身を積極的に変えていくことである。
▶︎逆境、苦境などの状況・環境の変化に対して、自分の芯を持って変化できるかどうかが大切。
ストレス反応を感じたら自己の価値観を再認識する。
他者に心を開くことで自己効力感を高めることができる。
ストレスを排除するのではなく、受け入れ、そこから何を学べたか認知し、次に活かす。
ストレスは生きていく上で身体にとって大事なものである。
私たちが日頃メディアで見かけるニュースは、健康に大きな影響を及ぼしている。アメリカの大規模調査では、「日常的なストレス」として最も多かった回答のひとつが、ニュースを見ることだった。強度のストレスを感じていると答えた人のうち、40%の人々は、ニュースを見たり、読んだり、聞いたりすることが、生活の最大のストレス源になっていると答えた。
ニュースとせいで感じるストレスは、生活によるストレスと違い、絶望感をもたらすという特徴がある。自然災害やテロ攻撃の後でテレビのニュースを見ていると、うつ病やPTSDを発症するリスクが高まることが、多くの研究によって明らかにされている。
「回復の物語」Restorative・narrative
回復のストーリーを報道する。
衝撃的な事件の直後に恐ろしいことばかり報道するのではなく、成長と癒しのストーリーを伝えるのである。
・災害の後、被災地の人達はどのようにして復興をとげたのか
・悲劇のあと、人々はどのようにしてもう一度、人生と向き合ったのか。
・どのようにして苦しみの中に意味を見出したのか。
人々は「回復の物語」を聞いたり、読んだり、映像で見たりすることで、希望や勇気が湧き、自分の人生にも変化を起こそうという意欲が湧いてくるという。
ストーリーの持つレジリエンスは、人々に感染する。
▶︎ストレスは避けるものではなく、受け入れるものである。
「心臓がドキドキしているのは、怖いから?いや、身体が行動を起こすための準備をしている。チャレンジ反応だ。」
なぜ今ストレスを受けていると自覚しているのか。身体の変化は何のためなのか?
ストレスを受け入れることは、自身にとってプラスになる要素がある。
ストレスは良くも悪くも、自分にとって大切なものである。
「ストレスは悪いもの」という思い込みをなくせば、身体の反応は変わり、人生も変わる。
ベネフィット・ファインディング
「ベネフィット・ファインディング」(benefit finding)とは、辛く苦しい逆境のなかに意味や価値を発見していくこと。
うつ病や心臓病のリスク低下、免疫機能の強化、生活の満足度の向上などに効果的である。
医療をめぐる不安に対して、命に関わる病気を経験した人たちやその介護者は、「いまこの瞬間を大切に生きることを学んだ」と言ったよい面だけでなく、体の疲れや将来に対する不安を感じるなど、悪い面についても述べる人のほうが、個人的な成長や、介護を通じた人間関係と深まりが持続することがわかっている。
スポーツ選手の立場ではイチロー選手がこんな言葉を残している。
イチロー選手の言葉(引退記者会見)
「少しずつの積み重ねでしか、自分を超えていけないと思っているんですよね。一気に高みにいるとすると、今の自分とギャップがありすぎて、それを続けられない。地道に進むしかない。ある時は後退しかしない時もあるので、自分がやると決めたことを信じてやっていく。でも、それは正解とは限らない。間違ったことを続けているかもしれない。遠回りをすることで、本当の自分に出会えると思っている。」
【イチロー節全開84分深夜の引退会見/全文一気読み】『日刊スポーツ』(2019年3月22日)
ただ、良いことばかりを見つめようとするのではなく、良い面も悪い面も認識して、否定的なことも前向きなことも受け入れて、歩むことが大切である。
同志がいることの喜び
仕事に対するモチベーションや取り組み方は、人それぞれ異なることが多い。
私の新人の頃は、仕事を覚えることで精一杯だった。
2〜3年目から、先輩の負担を減らすにはどうすればいいか考えていた。
それ以降は組織のために、地域のために何ができるのかを考えて、実行してきた。
そして、今は自分と同等以上に行動できる人がいると感心すると同時に、信頼できる。
信頼できればその人に仕事を任せたい、共に働きたいと思う。
新人の1人がその片鱗を見せていることが嬉しい。
積極的に今何をすればよいのか、探り探りだけど、私に質問してきて行動に移している。
働く同志、同じ道を歩む者に出会えた時は、なにものにも変えられない喜びがある。
出会いに感謝。
サプリメントの正体
“サプリメントの正体”
▶︎栄養不足が露呈している現代人においてサプリメントは必要なのか否か。
サプリメントの栄養素の含有率はまともなのか。
粗悪なものも多いのではないか。
製造過程はどうなのか。
それらをどのように判断するべきか。
様々なサプリメントの謎を解き明かしていく本書。
その中で気になったものをいくつか紹介します。
○サプリメントの製造過程
サプリメントの選択で大事なのは医者や管理栄養士などの医療関係者の監修ではなく、製造過程、生産管理がきちんとしているかどうか。
医療関係者はサプリメント製造の専門家ではない。
工場では発注内容に沿わずに、手抜きをしたり、原価を削ったりすることが実際にある。
○トクホの正体
「特定保健用食品(トクホ)」は健康食品であり、消費者庁が認可している。
医薬品とはまったくの別のものである。
症状を改善させる、緩和させる目的であれば、医薬品の方が精密な臨床試験が行われていて、きちんと効くことが確認されている。
尚且つ、健康保険により3割の価格で手に入る。
トクホに使われている成分の中には、医薬品の候補だったもの、効能が認められなかったために医薬品になれなかったものが多々ある。
いわば、三軍、四軍である。
それよりも確実な一軍(医薬品)がいるのだから、それを使うのが一番早く、安く、解決できる。
効果の不十分なサプリメントを自己判断で飲み続けることで、治療のタイミングを逃し、取り返しのつかないところまで悪化してしまうのは怖いことである。
○「機能性表示食品」は国の審査ナシ
機能性表示食品は
メリット
・エビデンスに基づいて「何の役に立つのか?」が明確に記載される
・消費者庁のウェブサイトで、誰でも情報が確認できる
デメリット
・消費者庁に届けられている情報に比べて、広告の表現が大げさになりがち
・最も大切なはずのビタミンやミネラルが対象から外れている
▶︎特定機能食品(トクホ)は国が審査をしている。(消費者庁)
栄養機能食品は届出はいらない。
機能性表示食品は届出が必要だが、審査はない。
唯一審査があるトクホでさえ厚生省ではなく、消費者庁が管轄していることを考えれば身体の不調、予防に関しても病院・医師に相談したほうがいい。
自己判断で健康のためにやっていることが、逆に悪化させる原因となっている可能性もある。
○ウコン
ウコンには「クルクミン」という抗酸化成分が含まれていて、肝臓を炎症から守る作用がある。
ただし、ウコン(秋ウコン)には鉄分が含まれていることが多く、肝障害がある場合、鉄分は肝障害を悪化させてしまうことがある。
日本では約1000人が脂肪肝である。
「肝臓は沈黙の臓器」といわれ、自覚症状がなくても、病気を発症していることもある。
「肝臓にいい」と思って飲んでいるつもりが、逆効果でかえって肝臓を悪化させることになりかねない。
○人体に「ビタミンC」が切実に必要な理由
犬や猫など、ほとんどの動物はビタミンCを自分で作り出すことができる。
しかし、人間には作り出すことはできない。
さらに、ビタミンCは働き者でらかなりの量が必要なため、人体に入るなり、各臓器で「取り合い」状態になる。
特に、「副腎」「免疫細胞」「眼」はビタミンCを大量に必要とし、優先的にビタミンCが回される。
①副腎
副腎はコレステロールを原料に、さまざまなステロイドホルモンを作る。ステロイドホルモンはアトピーの薬として認識されていることが多いが、元々体内に多様な顔ぶれが存在し、全身の機能を保つために重要な仕事をしている。
(代表的なステロイドホルモンは、コルチゾール、男性ホルモン、女性ホルモン)
この多種多様なステロイドホルモンを作る過程で、副腎は多くのビタミンCを必要とする。
ステロイドホルモンを合成する酵素はビタミンCのサポートによって、活性を維持している。また、ホルモンを生成する過程では大量の活性酸素が発生している。副腎はこの活性酸素によるダメージを防ぐためにも、抗酸化物質であるビタミンCを必要としている。
ストレスにさらされる機会が多い現代人は、抗ストレスホルモンのコルチゾールを生産するために副腎を酷使している。
②免疫細胞
外敵と戦う際には大量の活性酸素が発生する。それゆえに自分の身を守るためのビタミンCを必要とする。
いってみれば“防弾チョッキ”の役割です。
③眼
眼は体の中で唯一、外からの光に対して皮膚のガードがなく、剥き出しになっている臓器である。紫外線に直撃されるため、その害を防ぐビタミンCが必要である。ビタミンCを十分に摂取すると、白内障のリスクが低下することがわかっている。
ほかに、大量のエネルギーを消費する「脳」も大量のビタミンCを要求する。
体内に十分なビタミンCがあるのとないのでは、身体の状況は大きく変わる。
ビタミンDの効果は免疫力のアップである。ビタミンDをしっかり摂るとインフルエンザにかかりにくいという実験データがある。慈恵医大の調査では、6歳から15歳の子供たち、334人を2つのグループに分け、一つのグループには「ビタミンDの錠剤」を摂ってもらい、もう一つのグループには「ビタミンDが入っていない錠剤(プラセボ)」を飲んでもらった。
その結果を比較したところ、ビタミンDを飲んだグループがインフルエンザを発病した率は10.8%で、飲んでいないグループ(18.6%)の約半分だった。
またビタミンDはガンの発症を下げる、アルツハイマーの予防、高血圧などの循環器疾患をはじめとする生活習慣病にも関連している。さらにアレルギーの抑制効果もある。
ところが多くの日本人の場合、ビタミンDが足りていない。日本人女性の3人に2人はビタミンD不足、4人に1人は欠乏しているというデータがある。
ビタミンDは皮膚に当たる紫外線の働きによって作られる。しかし最近の日本の女性はシミを気にして、紫外線を避けるための化粧品や日傘を使うことが多いため、さらに日光が皮膚に当たる機会が減っている。
そのため、ある程度意識して日の光を浴びたり、ビタミンDを豊富に含む食品を摂るように意識しなければならない。
サプリメントでビタミンDを補給してもよいが、メラニン色素の少ない手のひらを日光に当てたりしらすや鮭、干し椎茸を食べたりするのも手軽な方法である。
○鉄
貧血予防に欠かせない「鉄」も不足しやすく、積極的に摂りたい成分である。特に女性は生理があるため、鉄をしっかり摂る必要がある。
思春期の女の子の場合、生理がはじまると鉄の消耗がどんどん増える。そうでなくても、成長期のため、体に必要な鉄の量が増えていく。さらに、激しい体を動かす運動部に所属している子は、特に鉄不足になりやすい。
運動するとき、特に長距離を走る場合にな、足の裏の血管を通る際に赤血球がダメージを受けやすいため、鉄の消耗が激しくなってしまう。そのため、スポーツをしている女の子は、十分に鉄分を摂る必要がある。
鉄は赤血球に含まれるヘモグロビンの材料になり、全身に酸素を運ぶ働きをしているほかにも、多様な働きをしている。
最も大切なのは、細胞中のミトコンドリアでエネルギーを作ることである。十分な鉄がなければ、せっかくの食べ物をエネルギーに変換することができない。すると寝起きが悪かったり、頭痛、肩こり、冷え、気分が落ち込む、イライラするなど、様々な症状が出てしまう。
さらに鉄が足りないと、脳内の神経伝達物質(ドーパミン、セロトニンなど)を作ることができない。神経伝達物質が不足していると、物覚えが悪くなったり、気持ちが落ち込んだりする。脳が正常に機能するために、鉄は不可欠である。
他にも鉄は「活性酸素」の消去の役割がある。「抗活性酸素」の構成要素にもなっている。鉄の不足は身体の抗酸化力の低下を招き、老化を促進する。
ただし、鉄は諸刃の剣であり、過剰に摂取すると活性酸素の発生源になるため、「適量」の摂取が大事である。
「非ヘム鉄」
主に穀物や野菜など植物性食品に含まれる
「ヘム鉄」
肉やレバーなどの動物性食品に含まれる
「非ヘム鉄」の素材には、クエン酸鉄、グルコン酸鉄などがある。医薬品の鉄剤としてよく使われる「フェロミア」はクエン酸第一鉄である。これは、鉄が剥き出しの状態なので、胃や腸に負担をかけやすく、人によっては気持ちが悪くなる場合がある。
「ヘム鉄」は、「非ヘム鉄」と異なり、鉄が剥き出しではなく、ポルフィリンという分子にくるまれているため、胃や腸にかける負担が少なくわ副作用が起こりにくい。また、ヘム鉄の方が吸収率も高く、非ヘム鉄に比べ、5〜10倍もよいとされている。
不調の原因が鉄の不足にあることが明らかな場合は、医師に鉄を補給するための薬を処方してもらうのが第一選択である。
ただし、医薬品は「非ヘム鉄」のため、胃腸の調子が悪くなるなどして継続することができないことがある。その場合は、ヘム鉄のサプリメントを使用するのが良い方法である。
ただし、注意すべきは、市販のサプリメントには「非ヘム鉄が主体で、ヘム鉄をちょっぴり加えた」だけなのに、パッケージには「ヘム鉄」と書いてあるものが多い。
ヘム鉄は殆どが豚の赤血球を原料として作られているが、鉄の含有率は低く、1〜2%しかない。
小さな粒でたくさんの鉄が摂れるように表記してある場合、主な原料は「非ヘム鉄」と判断できる。それなら、医薬品の鉄剤を使う方が安くて、品質も信頼できる。ヘム鉄が多く含まれている製品でなければ、サプリメントを使う意味がない。
輸入品の「医療機関向けのヘム鉄のサプリメント」と標榜していた製品が、実は「鉄粉」のサプリメントだった事例がある。単体の鉄は吸収しにくく、胃酸分泌が弱い人には特に厳しい。
こうした虚偽表示が堂々と行われていることがあり、サプリメントの選択はなかなか難しい。
○癌になった原因を考える。
原因は大きく2つあるようだ。
一つは「血行障害」。血行が不良で酸素の供給が不十分な環境では、細胞は生きるのが大変である。そこで生まれた「低酸素状態でも生き延びる能力を身につけた細胞」というのが、癌の角度を変えた見方である。
もう一つは慢性の「炎症」がある場合である。炎症によってある部分の細胞が死んでしまうと、まわりの細胞が分裂して、開いてしまった穴を埋める。細胞が分裂する際には、遺伝子の端にある「テロメア」という部分が短くなる。テロメアが限界を超えて短くなると、細胞はそれ以上分裂することができない。
慢性の炎症があり、その部分の細胞が次々に死んでしまうと、周囲の細胞が一生懸命細胞分裂して、その部分を埋めないといけない。テロメアはどんどん短くなり、細胞は分裂できなくなる。そこでできてしまった傷を埋めるために、テロメラーゼをもう1度活性化させて、再び分裂ができるようになった細胞、それが癌である。
低酸素状態で生き延びるために生まれた癌、慢性の炎症を修復する過程で生まれたガン、過酷な環境下でなんとか生き延びようとしてある細胞、それがガンだという見方もできる。
これらを予防することが大事である。
有酸素運動をして、血行をよくすること。運動するかしないかでは、毛細血管の発達が全く異なり、運動して体内に酸素を行き渡らせる。
肥満や高血糖は慢性炎症に繋がりやすいため、避けるべきである。
○現代人は栄養失調
「新型栄養失調」あるいは「現代型栄養失調」
→三大栄養素である、炭水化物、タンパク質、脂質は十分足りているが、微量栄養素であるビタミン、ミネラルが不足していること。
▷若い女性の深刻な栄養欠乏
栄養素の不足で体調を崩している人はきわめて多い。
特に若い女性に多く、鉄不足、ビタミンB群、亜鉛が不足している。
これらの不足があると、朝起きられない、だるい、疲れやすい、冷え性などさまざまな症状が起こる。慢性頭痛や生理痛で悩む人も多い。
不調が当たり前となり、自分自身が認識していない人もいる。
若いのにまるで高齢者のような体調で暮らしている。
不定愁訴は原因不明とされることも多いが、実は栄養不足から起こっているものもある。
栄養素を摂取することの重要性を再認識する必要がある。
○加工食品の「大きな欠点」
▶︎ 現代人に多い、“食事でかかる新型栄養失調”。
食べているのに栄養失調にかかる。
つまり現代人は、ろくなものを食べていないということ。
その要因の一つが加工食品である。
コンビニ弁当、宅配弁当、テイクアウトの惣菜、レトルト・インスタント食品、ファーストフードなと。
これら加工食品に含まれるミネラルはきわめて貧弱である。
総務省が発表している「家計調査」を見ると、21世紀になるとともに、日本の家庭は生鮮食品よりも加工食品や外食に多くのお金を払うようになっている。
農林水産省の推計でも、私達の口に入る農作物の8割(金額換算)が、加工・調理されたものになっている。
つまり、ビタミン、ミネラルの足りない「新型栄養失調」が起こる原因は「加工食品」が日常的に私たちの食事に入り込んできたことにある。
加工食品には「ビタミンやミネラルの欠落」という大きな欠点が潜んでいる。
コンビニエンスストアで、1日の食事を済ませた場合に、どのくらいのミネラルが摂取できるかを実測したところ、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅の5つの必須ミネラルの全ての摂取量が、20代女性の推定平均必要量に全く達していない。
朝は菓子パン、昼はファーストフード、夜はコンビニ弁当。
命を削る食事である。
〈まとめ〉
※加工食品が中心の食生活は、栄養失調に陥りやすい
※このリスクを避けるには、旬の食材を調理して食べる機会を増やす
※サプリメントは粗悪品が多いので、自分で選ばず専門家に相談する
ファクトフルネス 事実を知る
【FACTFULLNESS】
ファクトフルネス
読了しました。
言わずと知れたベストセラー本。
能動的に知ることの大切さを教えてくれます。
10の本能から世界を知る。
そのいくつかを紹介します。
○分断本能
人はドラマチックな本能のせいで、何事も2つに分断したがる。
分断本能を抑えるには
「平均の比較」
「極端な数字の比較」
「上からの景色」
の3つに注意する。
○ネガティブ本能
ネガティブ本能を刺激する要因3つ
⑴あやふやな過去の記憶
⑵ジャーナリストや活動家による偏った報道
⑶状況がまだまだ悪いときに、「以前に比べたら良くなっている」と言いづらい空気
関心フィルター
おそらく、人の頭の中にいちばんすんなり入ってくるのは、物語形式で伝えられる情報だ。そして、物語形式の情報は、ほかの情報に比べてドラマチックに聞こえやすい。
○恐怖本能
報道する情報を選ぶときに、「恐怖本能を刺激するか否か」を判断基準にしているメディアは多い。
メディアは毎日のように以下に関連するニュースを流している。
・身体的な危害
・拘束
・毒
生活に余裕が生まれると、自然の過酷さに悩まされることも少なくなる。
そうなると、進化の過程で発達した恐怖心は、役立つどころか逆に足を引っ張ってしまう。
規制が厳しくなる理由の多くは、死亡率ではなく恐怖によるものだ。福島の原発事故やDDTについて言えば、目に見えない物質への恐怖が暴走し、物質そのものよりも規制のほうが多くの被害を及ぼしている。
化学物質恐怖症が流行り出すと、たとえば半年ごとに、「よく見かける食べ物に、合成化学物質が混入している」という「新事実」が見つかったりする。しかし、あまりにも微量なので、その食べ物を貨物船一隻分、3年間毎日食べない限り、命を落とすことはない。
「恐ろしいものには、自然と目がいってしまう」
恐怖本能を抑えるには、リスクを正しく計算すること。
リスク=危険度×頻度
「恐ろしさ」はリスクとは関係ない。
○パターン化本能
「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み。
人間はいつも、何も考えずに物事をパターン化し、それをすべてに当てはめてしまう。
しかも無意識にやってしまう。偏見があるかどうかや、意識な高い可動かは関係ない。
人が生きていく上で、パターン化は欠かせない。それが思考の枠組みになる。どんな物事も、どんな状況も、すべてをまったく新しいものとして捉えていたら、自分の周りの世界を言葉で伝えられなくなってしまう。
○宿命本能
持って生まれた宿命によって、人や国や宗教や文化の行方は決まるという思い込み。
物事がいまのままであり続けるのには、どうにもならない理由があるからで、昔からそうだし、これからも永遠にそのままであると。
→ゆっくりとした変化でも、変わっていることを意識する。
○単純化本能
シンプルなものの見方に、私たちは惹かれる。賢い考え方がパッとひらめくと興奮するし、理解できたと感じられると嬉しい。
パッとひらめいたシンプルな解が、他のたくさんのことにもピタリと当てはまると思い込んでしまうのは、よくあることだ。
すると世界がシンプルに見えてくる。
すべての問題はひとつの原因から生まれてくるに違いない。
だから、なにがなんでもその元凶を取り除かなければなるないと思ってしまう。
すべての問題がひとつのやり方で解決できると思い込むこともある。
すると、異論は許されない。
そう考えれば何もかもシンプルになる。
でもここにちょっとした問題がある。
それでは世界をとんでもなく誤解してしまうということだ。
そんな世の中の様々な問題にひとつの原因とひとつの解答を当てはめてしまう傾向を、わたしは「単純化本能」と呼んでいる。
世界をただひとつの切り口で見れば、あれこれ悩まずにすむし、時間の節約になる。
問題の本質をいちから学ばなくてもはなから答えは出ているし、その分ほかのことに頭を使える。
でも、世界を本当に理解しようと思ったら、このやり方は役に立たない。
ただひとつの解にやみくもに賛成したり、どんなときでも必ず反対していると、自分の見方に合わない情報から目を背けることになる。
それでは現実を理解できない。
むしろ、自分が肩入れしている考え方の弱みをいつも探したほうがいい。
これは自分の専門分野でも当てはまる。
自分の意見に合わない新しい情報や、専門以外の情報を進んで仕入れる。
自分に賛成してくれる人ばかりと話したり、自分の考えを裏付ける例を集めたりするより、意見が合わない人や反対してくれる人に会い、自分と違う考えを取り入れる。
それが世界を理解する素晴らしいヒントになる。
▶︎ 意見が合わない人や反対してくれる人が周りにいてくれる環境はよい。
シンプル化の択一を阻んでくれる存在がいてくれると、多角的なcritical thinkingが可能になる。
単純化本能に無意識に縛られると、思考停止に陥ってしまう。
そのためには専門分野外の情報を知ることが重要である。
世界をひとつだけの切り口で見てしまうのには、大きく2つある。
政治思想と専門知識である。
頭がいいからと言って、世界の事実を知っているわけではない。数字に強くても、教育レベルが高くても、たとえノーベル賞受賞者でも、例外ではない。
その道のプロは、その道のことしか知らない。
それに「プロ」とは言っても、自分の専門領域のことさえ知らない人もいる。
専門知識が邪魔をすると、実際に効果のある解決法が見えなくなる。
その知識が問題解決の一部に役立つことはあっても、すべての問題が彼らの専門知識で解決できるわけではない。
様々な角度から世界を見たほうがいい。
※ 医療でなにもかも解決できるわけではない。
医療の専門家の中には、医療についてひとつの凝り固まった見方しかできない人や、特定の治療法にこだわる人がいる。
医療業界の一翼を担う大手製薬会社の利益はこのところ減り続けている。
ほとんどの製薬会社は、寿命を延ばすような革命的な新薬の開発ばかりに目が行っている。
これからは新薬ではなく、新しいビジネスモデルの転換である。
全てにメリット・デメリットがあり、何がひとつが決定的に良いなんていうことはない。
二者択一ではなく、ケースバイケースで、規制と自由の適当なバランスを見つけることが大切である。
ひとつの視点だけでは世界を理解できないと知ること。
単純化本能を抑えるには、なんでもトンカチで叩くのではなく、様々な道具の入った工具箱を準備したほうがいい。
自分の考え方を検証し、自分の弱点を見つける。
心配すべき5つのグローバルリスク
・感染症の世界的な流行
・金融危機
・世界大戦
・極度の貧困
謙虚と好奇心
謙虚であるということは、本能を抑えて事実を正しく見ることがどれほど難しいかに気づくことだ。
自分の知識が限られていることを認めることだ。
堂々と「知りません」と言えることだ。
新しい事実を発見したら、喜んで意見を変えられることだ。
謙虚になると、心が楽になる。
何もかも知っていなくちゃいけないというプレッシャーがなくなるし、いつも自分の意見を弁護しなければと感じなくていい。
好奇心があるということは、新しい情報を積極的に探し、受け入れるということだ。
自分の考えに合わない事実を大切にし、その裏にある意味を理解しようと努めることだ。
答えを間違っていても恥とは思わず、間違いをきっかけに興味を持つことだ。
「どうしてこんな事実も知らなかったのだろう?この間違いから何を学べるだろう?あの人たちはバカじゃないのに、どうしてこんなことをしているんだろう?」と考えてみることだ。
好奇心を持つと心がワクワクする。
好奇心があれば、いつも面白いことを発見し続けられる。
世界を理解するのにニュースは役に立たないと気づくかどうかは、私たちにかかっている。
ジャーナリストや報道機関は、消費者が関心を集めるドラマチックなニュースを流すことがほとんどである。
データや数値から正しく世界、物事を視ることが大切である。
正しく視ることで、正しく知ることができる。
事実を知ることは、己の位置を知ることにもなる。
周りを批判的に自らを批判的に考えるためには、事実を知ることが先決。
過剰な情報化社会で生きるために、メタ認知をするためには、世界を正しく視る・知る必要がある。
FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
- 作者:ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド
- 発売日: 2019/01/01
- メディア: Kindle版
知識を得るとは?
知識を得るには大きく2つの得る方法があります。
能動的知識:自分で調べて考えて検証して得た知識
受動的知識:人から与えられた知識
どちらがよいでしょうか?
一見、能動的知識のほうが良さそうですよね。
どちらも大事です。
ただ、それぞれメリット・デメリットはあります。
能動的知識
【メリット】
①意欲的、好奇心、必要性があるので記憶の定着率が高い(エピソード記憶、反復記憶、長期記憶など)
②知識を得る過程でノウハウを学べる(どの論文媒体がよいのか、どの参考書が良いのかなど)
③検索、検証スピードが上がる
④情報の取捨選択ができるようになる
⑤ 目的と関連した知識を得られる
⑥なにより楽しい(私だけかもしれない)
【デメリット】
①時間がかかる
②すぐに情報を取捨選択できない
(精査するため)
③初学者には難しい
④(情報によっては)面倒くさい
メリットばかりではありませんね。
受動的知識
【メリット】
①情報を得る速度が早い
②初学者には効率的、成長速度が上がる
③正しい知識を扱える人から情報を与えられると飲み込みが早くなる
④緊急的に情報が欲しい場合には効率的
(情報が正しければ)
【デメリット】
①受け身なので記憶の定着率が悪い
②受動に慣れると能動的になりにくい
③最新の正しい情報を得ることが困難
④情報の取捨選択が困難
⑤与えられる情報しか知識にできない
受動的知識は初学者にはわりとメリットはあります。
ただしそれに依存するとデメリットの要素が強くなります。
要は両方のバランスが大事だということです。
自分がどの学習段階で何の情報が欲しくて知識を得たいのか。定着させたいのか。
「目的」のためです。
スポーツ観戦で同じ「結果」でも試合経過を知っている結果と、文字通り結果だけ知る場合があります。
結果が「1-0」だった場合、
・1-0を知ることができればよい。
・どんな1-0だったのかを知りたい。
目的によって変わります。
野球であれば投手戦だったのか?貧打だったのか?初回に点が入ったのか?サヨナラなのか?押し出しなのか?
など様々なシチュエーションが考えられますよね。
自分が今、得たい情報、知識がどういうものなのか。
ただ、がむしゃらに調べるのも良いし、情報を与えられるだけでもよいですが、一度立ち止まって考えてみる事も必要かも知れません。
セラピストの存在意義とは?
セラピストとしての存在意義、存在価値は何でしょうか?
私は以前、院長に私の介入成績を開示して、結果を出すことを私はやっていきますが病院的に経営的に大丈夫ですか?
と聞きにいきました。(辞める覚悟もしていました)
院長は「医療は結果を出してこそでしょ。どんどん改善させてよ。」ということでした。
その後も、セラピストとしての在り方、組織、医療、経営、臨床のことなどたくさんのディスカッションをしました。
それは現在でも続いてます。
ほぼ毎日、Dr.と普通に話す自分がいるのは今考えると不思議です。セラピストになった頃は考えもしませんでした。
呼び止められる事も多くなり、こちらから飛び込んでいく事も増えました。大前提としてそこには“患者さん”がいます。
その言葉通り、当院では結果を出すことを良しとして、後輩や新人たちに臨床、組織において結果を出すこととは何かを指導、教育しています。
「臨床で患者さんを改善、もしくは鑑別できなければセラピストの存在意義はない」
この考えは新人の時から変わっていません。
結果を求めてはダメな業界なら私はとっくに辞めています。
やる意味ないし楽しくないし金だけ欲しいなら他に金儲けできる仕事はたくさんある。
しかし臨床が楽しくて患者さんの笑顔が見たくて学ぶことが好きだから。
そんな仕事そうそうないわけで。
この仕事は本当に最高です。
皆さんの仕事での存在意義は何ですか?