ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 読了
私はよく本の話を患者さんとしている。
ある患者さんから勧められた本で、書店の店頭でよく見かけていたため、気になっていた。
イギリス在住の著者と息子を中心とした話。
イギリスは紳士の国とは言ったものの、器が小さいのか多様性になれていないのか。
外見ばかり気にするお国柄かな。
階級社会の宿命だとはいえ、現代においては古い考え方。
日本も似たようなものだが。
個人的にシンパシー(共感、同情)とエンパシー(共感する能力)の違いについては勉強になった。
日本語ではどう表現するのだろう?
エンパシーは患者さんと接する上で最も重要な能力。
エンパシーは問診の基本中の基本。
まさに価値観の多様性がなければ、できない。
自分と範囲外の価値観、特に患者さんとなれば様々な悩みを抱えている。
だから読書など様々な価値観、見聞を貪欲に取り入れることだ大切。
専門分野の勉強も大事だが、それだけでは患者さんは診れない。
もうひとつ気になったのは、日本で著者親子がDVDをレンタルするシーン。
店員と親子とのやりとりがもどかしくもあり、悲しくもなる。
ただ、どちらの気持ちもわかる。
著者が店員に「自分が属する世界や、自分が理解している世界が、少しでも揺らいだり、変わったりするのが嫌いな人なんだろうと思った。」と思ったセリフがあった。
読んでいて胸がチクリとした。
私自身、そうでないだろうと思っていたが、まだまだ価値観の許容量、多様性は低いと思う。
もっと色んなものを知って、触れて、感じなければいけない。
この本に出会えてよかった。教えてくれた患者さんありがとう。
本との出会いは毎回感謝でしかない。