BPS model を中心とした痛みマネジメント -機序-
これまで痛みに対しては構造的モデル(身体を中心)がメジャーでした。
しかし、最近の世界のスタンダードはBPSモデルを中心とした疼痛治療です。
BPSモデルを中心とした痛みの治療を解説します。
○概要
痛みの定義
正常な痛み
感情と欲求
キズがない痛み
慢性痛とは
神経可逆性
不活動性疼痛
末梢感作
中枢感作
身体不活動の死亡リスク
痛みの定義
国際疼痛学会(International associations for Study of Pain)は「痛み」を
「実際に何らかの組織損傷が起こった時、あるいは組織損傷が
起こりそうな時、あるいはそのような損傷の際に
表現されるような、不快な感覚体験および情動体験」
「組織の実質的あるいは潜在的障害にもとづいておこる
不快な感覚性・情動性の体験であり、それには組織損傷を伴うものと、
そのような損傷があるように表現されるものがある」と定義している。
痛みは主観的な症状であり心理社会的、スピリチュアルな要素の修飾を受ける。
つまり痛みは、外傷や損傷だけではなく、
「心理的」「社会的」な要素を含むということです。
そして、「主観的」だということが大前提にあります。
正常な痛みは、身体を守ってくれるために、信号を発して私たちに教えてくれます。
痛みは“良いこと”なのです。
「無痛症」という病気がありますが、まったく痛みを感じないことで
生存リスクがかなり低く、4〜5歳で死亡するケースが多いです。
それだけ痛みは私たちにとって非常に大切な信号です。
人間には様々な【感情】【欲求】があり、
これらが複雑に絡み合い痛みとして出現します。
安静にしていることの不利益は大きく、身体を動かさないことで「痛みの閾値が低下」→“痛みを感じやすくなる”
という負の連鎖に落ちていきます。
動かないことでの認知症のリスクも高まります。
以上で、痛みに関する説明は終わりです。
まとめると、
・痛みは主観的、感情的である
・動かないことで痛みを感じやすくなる
(その他、疾患のリスクも大きくなる)
次回は、「痛みの治療」について記述していきます。