心因性疼痛は存在する?
心因性疼痛は存在するのか。
原因不明な痛み、CT、MRI、エコーなどで可視化できない痛みはたくさんある。
そのなかで「心因性」かもしれないと、心療内科受診を進められることは多いです。
本当にそうですか?
いきなり結論から話しますが、
明らかな身体的原因がなく、その発生に心理社会的因子が関与している痛みを、従来「心因性疼痛」という病名が用いられた。 しかし、いわゆる「心因性疼痛」の多くには、心にのみ原因があるということではなく、多くの要因(生物学的、心理的、社会的、行動要因)が複雑に関与する可能性がある。
引用:痛みと鎮痛の基礎知識 - Pain Relief
いわゆるBPS modelです。
ある症例を紹介します。
70代女性。
主訴は左腰背部痛。時々刺す様な痛みがある。
典型的なsway back.
趣味はおかし作り。
家族4人と同居。
孫の面倒を見ることがある。
娘さんは病気がある。
これ以上は詳しく書けませんが、みなさんはどこを評価、アプローチしますか?
腰?可動域?筋力?姿勢?動作?
全て正解です。
ただ、それだけではありません。
これらは対処療法にしかなりません。
大事なのは「背景」つまり“social”です。
これは他のセラピストが介入していて症例発表していたので私は関与していません。
ただ、セラピストとDr.は「心因性疼痛」だと。
私は違うところをみていました。
socialです。
ここを問診、評価、アプローチしていくともう少し深めていけるかなと考えます。
「疾患」として診ることも大事。
ただそれ以上に、「人」として診ることも大事です。
腰が痛いから腰を診る。原因がないから心因性。
痛みはそんなに単純ではありません。
(単純な場合もありますが)
背景(social)→psycological→biologicalと診ていくといいです。
だだし、BPSは相互して絡み合っているのであくまで同時に診ていくことが大切です。
慣れてきたら、同時進行してみましょう。
難しければ1つずつ、焦る必要はありません。
問診は大事です。
その人を知る上で最も重要な手段となります。
問診は、セラピストの人間力が試されます。
診る範囲、価値観を広げましょう。