シンプルな肩が痛い人の診方
(※臨床上の私見ですので、ご了承下さい)
肩を診るのは難しいです。
機能解剖的に複雑で、ごちゃごちゃしています。
ただし、難しいものを難しく診る必要はありません。
筋肉がー
関節がー
靭帯がー
神経がー
そんなものごくわずかな要素でしかない。
目的は、“肩の痛みと負担を改善すること”です。
肩を楽にしてあげること。
なぜ肩が痛くなるのか?
考えていきます。
ここからは、全体を診ていきますので、カテゴリー別にはしません。
どの疾患でもそうですが、「人」を診ていきます。
肩が痛いほとんどの方が、前腕回内、肩内旋、肩甲骨外転、前傾しています。
(以後、SBA:shoulder burden posture)
→勝手に作りました。
負担になっていたり、違和感がある、痛くなりそうな人も。(予測)
解剖学的肢位を思い出してみてください。
両手を開いています。
解剖学の教科書の最初に載っていますので見てみてください。
前腕回外、肩外旋、肩甲骨・頭部・脊柱・下肢は正常位。
SBAはどうなっていましたか?
ということです。
元の位置に戻しましょう。
まずはそこからです。
SBAで肩を挙上したり、重いものを持ったり、長時間作業したり、デスクワークしたりします。
SBAはほとんどのADL、IADLで無意識化で行なっている。
解剖学的肢位なんか意識しない限りしません。
以前のブログで背伸びの話をしました。
なぜ背伸びが大事なのか。その必要性がわかると思います。
medical-reading.hatenablog.com
それに追従するように、脊柱後弯、FHP(頭部前方位)、下肢のstiffnessなどの要素があります。
ちなみに頭部はボーリング玉一個分ですので、頭頸部の位置は重要です。
身体を破綻させる大きな要因になります。
これらに当てはまる人、当てはまらない人様々です。
あくまでひとつの要素として診ていきます。
私が言っていることは、全て“ひとつの要素”だと思ってください。
これが原因だと当てはまるものなんかありません。
世の中そんなに甘くありません。
また、下肢と体幹の使い方が下手な人は、肩を痛めます。
肩を労わるには、下肢と体幹を働かせる。(痛み等がなければ)
スクワットを診れば、大体わかりますので評価しましょう。
さて、ここからが本題です。
ここまでは、biological。
上記はすべて、「結果」にすぎません。
“なぜSBAをしてしまうのか?”
ここが問題であり、原因になりやすいところです。
つまり、psychological , social 。
特に、socialの要素は大きいと考えています。
肩は犠牲者になりやすい。
socialを見ると原因が絞れます。
本質を診ていきます。
SBAをとる理由は何なのか?
仕事、家事、育児、趣味など様々な要素が含まれています。
生活の中で、SBAをとっている時間はかなり多い。
SBAは皆さんの大好きな、肩のimpingementの原因になります。
しかし、それは結果です。
“背景”を診ましょう。
どの状況、環境で肩が“犠牲者”になっているのか。
仕事が嫌で、家事が嫌で、人間関係が嫌で・・・
鬱傾向の人、不安や恐怖などは体を縮こませます。
体が縮こまる姿勢、SBAですよね。
現代人が大好きなスマホ。
電車に乗るとほぼ全員スマホいじっています。
身体のことなんか考えていません。
スマホに夢中です。
social⇄psycological⇄biological
BPSは相互し合います。
姿勢を正すことが良いなんて、誰でも知っています。
なぜやらないか?
やる理由、状況、環境が不足しているからです。
“動機付け”や“目的” が自身の身体にないからです。
socialで身体、精神のことを考えている人は少ないです。
モデルさんくらいでしょうか?
身体の専門家である医療従事者でさえ、ほとんどいません。
育児をやるお母さんは自分の身体なんか顧みず、お子さんのお世話に必死になります。
当たり前です。
目的は“子ども”です。
ストレスもあるでしょう。イライラするでしょう。不安もあるでしょう。
自律神経系はどうなるでしょうか?
内分泌系はどうなるでしょうか?
代謝・循環器系はどうなるでしょうか?
痛みはどうなるでしょうか?
情動はどうなるでしょうか?
診るべきは「人」です。
肩はそのひとつにしかすぎません。
痛みはそのひとつにしかすぎません。
socialを、背景を、人をもっと診てあげてください。
肩を診る、痛みを診るということは「人」を診るということです。
結果を求めるのであれば、「人」を学びましょう。