歩行時のHCの重要性
歩行のときに、IC (Initial contact)= HC (Heel Contact)できているかどうかの評価は大切です。
下肢疾患や腰部痛、うつ病、精神疾患、高齢者などで、LRやMStがICになっている方はたくさんいます。
評価
歩行時のIC=HCができているかを評価します。
簡単です。
3つのポイントを覚えておいてください。
①踵から接地しているか
②つま先の向きが進行方向と一致しているか。
③足音
シンプルです。
この3つを見ていきます。
①歩行のとき(IC)に踵をついているかどうか。
そのままです。
②つま先の向き
つま先の向きが進行方向と同じ、もしくは20°外向きまでは許容範囲です。
真っ直ぐ 0〜20° 外向きの範囲です。(正常は足角7°)
その範囲以外になると足→膝→股関節→腰部等の上行性運動連鎖により、身体負担が増加します。
あとはつま先の向きに合わせて、膝の向きも同列にあるかを見ます。
Toe-in, To-outしていないか。
膝OAや高齢者だとwide baseでの歩容の方が多いです。
足底の荷重ラインも把握しておくとよいです。
おおよその目安くらいで大丈夫です。
靴の減り方もみたりします。
とりあえず、「つま先と膝の向きは進行方向へ一致させる。もしくは近づける。」
これだけでも覚えておくと楽になります。
③足音
「足音がするかどうか」
これだけです。
足音はそのまま、LRやMStでの歩行を意味します。
踵からつけば足音はあまりしません。
ぺたんぺたんやずっずっのように床とのクリアランスの低下等により、すり足のようになっている方がいます。
所作でもそうですが、動作時の“音”は大事です。
「音を立てないように動いているかどうか」
ここをみます。
運動学
IC=LRは衝撃吸収が上手く処理できず、ダイレクトに下肢や腰、体幹、肩、頸部など多くの身体部位、身体全体に負担がかかります。
体重の約3倍の衝撃を処理するためにはHCの役目は大事です。
また、つま先接地、すり足からのつまずき、転倒リスクを防止。
足背屈、下肢伸展、身体図式などの意識付けもできる。
HC優位にすることで身体負担が減り、疼痛が軽減する例も多く見られます。
リスクとして膝OAなどの下肢疾患があると適応のためにICをLR, MStにしている場合があります。
そのため、歩幅、歩隔、歩行速度など疼痛や可動域等の負担を考慮して行う。
無理にHCを誘導しないということです。
適応≒代償のバランスを考える必要があります。
補足
補足ですが、歩行分析が難しいと思う方は、患者さんにゆっくり歩行するようにお願いしてみてください。
ゆっくり歩行することで、その方の歩行の“弱点”がわかります。
左右にふらついたり、片足立位時間が短かったり、背中が曲がっていたり。
色んな要素を視覚的に確認しやすくなります。
基本動作やADLもそうですが、ゆっくりやることでごまかしが効かなくなり、患者本来の身体機能が露呈します。
自転車もそうですよね。
自転車は速いほうがバランスをとるのが楽で、ゆっくりのようがバランスは難しい。
漕ぎ始めが難しいように、動作速度をゆるめることでセラピストの評価負担が減ると思います。
もちろん平行棒内や壁の近くなどでやる等のリスク管理を忘れずに。
歩行分析が難しいと思う方は、「ゆっくり動作をやってもらう」
まずはここから始めてみてください。