span.author.vcard {display: none;}

これから「健康」の話をしようか

理学療法士。健康、医療、読書のことについて書いていきます。

1日20分の日光浴でビタミンDを生成

f:id:daisuke1011:20200501165100p:plain



1日20分の日光浴でビタミンDを生成

 

日光を浴びると、体内では「ビタミンD」が生成される。

ビタミンCなどほかのビタミンは体内で合成できない栄養素だが、ビタミンDだけは唯一、食材だけでなく日光を浴びることでも体内で作ることができる。

私たちの皮膚の細胞は太陽光のUVB(紫外線B波)の刺激を受けるとコレステロールに作用し、ビタミンDに変化する。


妊娠しやすいカラダづくり】ビタミンDと妊娠する力、育む力

【日光浴・ビタミンDの効果】

・骨生成促進

・筋力アップ

・心疾患予防

認知症・うつ予防

・糖尿病予防

・メタボ予防

・がん予防

・免疫力向上

 

ビタミンDには、免疫系の細胞の働きを良くする作用がある。

炎症を抑制する働きがあり、炎症がもととなって発症する動脈硬化や糖尿病、がんの発症リスクを下げる。

血管で繰り返し炎症を起こせば動脈硬化に、脂肪細胞で炎症が起きれば糖尿病になると考えられている。

 

がんも慢性炎症の1つで、ビタミンD不足だと乳がん前立腺がん、大腸がんなどにかかりやすくなり、不足の程度がひどいと悪性度の高いがんができる傾向にある。

 

認知症も、脳細胞の炎症という見方がある。神経学術誌『Neurology』に掲載された論文によると、アルツハイマー認知症の群とそうでない群を比較すると、アルツハイマー群ではビタミンD濃度が低い。

最近はインフルエンザや花粉症、うつ病発達障害などの発症とビタミンD濃度との関連も指摘されている。

 

さらにビタミンD濃度が高いほど全死亡率が減少することがわかっている。

英国医師会雑誌『BMJ』で2014年、「血中のビタミンD濃度が10ngml低下すると、死亡率が16%上昇する」と発表された。

ヨーロッパの全死亡の約9%、米国のおよそ12%にビタミンD欠乏が関与する、ともある。

 

日本での大人のビタミンD欠乏に関する大規模なデータはないが、不足している人が多いと指摘する専門家が少なくない。

 

理由は2つあり、1つは同じようなライフスタイルで暮らす韓国で、調査対象の7割超がビタミンD欠乏症だったという報告がある。

 

もう1つは、日本では1975年頃まではむしろ日焼けが奨励されていたが、「紫外線ががんを誘発する」という報告があってから現在では子供の頃から徹底的に日焼け止めを塗る習慣が定着しているためだ。日焼け止めは肌の炎症を促進するというUVA(紫外線A波)だけでなく、ビタミンDを生成するUVBもカットしてしまう。

 

特に妊婦さんや子供、高齢者は日光が不足しないように気をつけなければならない。

妊婦さんがビタミンD不足だと生まれてくる子がアトピー性皮膚炎やアレルギー、小児喘息になりやすいことがわかってきている。

 

それではどれくらいの時間、日光浴をしたらいいのか。

国立環境研究所らの研究チームによると、紫外線の弱い冬の12月の正午(つくば)で両手・顔を露出したと仮定した場合、22分の日光浴で必要量のビタミンD厚生労働省の日本人食事摂取基準で示される5.5μg)を生成することができると報告されている。

それを基準とし、最低でも一日20分程度と心がける。

季節により変動するので以下を参照していただきたい。

 

 

f:id:daisuke1011:20200501165637p:plain

 

ただし、厚労省のビタミンDの目安量は骨のビタミンとしては足りるのかもしれないが、免疫系に働く万能ビタミンとしては少なすぎる。

また日本ビタミン学会や骨粗鬆症財団も「冬なら手や顔を1時間程度日に当てること」を推奨しているため、免疫力が低下していると感じるときほど、できる限り日光を浴びることを意識する。

またビタミンDが豊富な食材を摂取することも大切。

ビタミンDにはD2D3があり、植物由来のD2はきのこなどに、動物由来のD3は魚に多く含まれ、体内で実際に働くのはD3といわれる。

 

f:id:daisuke1011:20200501165157p:plain

 

また、日光浴は、セロトニンドーパミンの分泌を高めるので、ストレスや睡眠障害の軽減なども期待できる。

 

 

f:id:daisuke1011:20200501165309p:plain

 

日焼けが気になる人は「手のひら日光浴」でも効果がある。

手のひらは体の他の部位と比べると、メラニン色素が少ないので日焼けするリスクが低い。

外に出て手のひらを陽に当てて、夏なら15分で冬なら30分以上おこなう。

じっとしておく必要はなく、手のひらを意識しながらウォーキングやガーデニングをおこなえる。

 

 

もちろん日光浴による紫外線のデメリットもある。

 

気象庁による筑波での観測結果(1991~2016年)では、25年間で12%の紫外線の増加が確認されている。

日光の中の紫外線は、私たちの健康に様々な悪影響を及ぼす。

 

【紫外線のデメリット】

急性 日焼け

   紫外線角膜炎

   免疫機能低下

慢性 皮膚のシワ、シミ、日光黒子

   良性腫瘍

   前がん症

   皮膚ガン

   白内障

   翼状片

 

肌が弱い人や日焼けしたくない顔などは、日光浴をする前に日焼け止めでしっかりと準備する。

日光浴は地域によって時間が異なり、季節によっても紫外線の量が変わるので、体の負担を慎重に判断しながら行う必要がある。

 

また日光浴をした後のアフターケアも大切なので、腕や顔にローションをつけたり、ヒリヒリする場合は冷たいタオルで冷やしたりする。

長時間の日光浴は、紫外線のダメージを受けてしまうので、タイマーを使って時間を確認するのも必要である。