臨床での膝の見方
膝は単軸関節なので、基本的に屈曲伸展の動きしかしません。
(内外旋は軽度ありますが)
ということは、捻りや横(内外反)の動きに弱いと言うことです。
膝は常に回旋と横の動きに晒されています。
寝返り、起立、立位、歩行、階段など。
こういった基本動作から膝のストレス、痛みは発生します。
さらに膝OAの場合、内反変形があると2軸、または3軸の状態となり、膝本来の単軸のみの機能が破綻します。
それに荷重をかけての動作を日々行うと、炎症の誘発や増悪、変形の進行となる原因になります。
正座や和式の生活はさらに、膝の負担に追い討ちをかけます。
以上のことから評価・アプローチとしては、“膝をいかに単軸で機能させるか“をベースに考えます。
例えば、スクワットは膝を使う動作ですが、ここで大事なのは“全身を使えているかどうか”です。
体幹を起こしたままの膝だけのスクワットは、膝の可動性のみに頼るので膝のメカニカルストレスは増大します。
ポイントは膝ではなく、
股関節、脊柱、肩甲骨、頭部です。
この4つが正常に機能し、全身の役割を担っているか。
というか膝以外全部です。
膝が痛いのであれば、膝は“犠牲者”です。
それ以外のところに頑張ってもらわないといけません。
サボってるところがあります。
そのサボっているところを働かせるようにする。
つまり膝にアプローチは最低限で、膝以外のところに動いてもらいます。
起立であれば、ゆっくり動作を行う。
動作速度を遅くすることで、本来の重心移動だけの起立になります。
(これは全ての基本動作に使えます)
起立のときは、
体幹の前傾
→矢状面で見て、
両足部の間にみぞおちがくる
→股関節の屈曲角度を増加
→下肢全体を屈曲位の状態
→下肢全体の伸展
→起立完了
この動作をゆっくり行います。
それと、つま先の向きを見ましょう。
基本的にはつま先は正面、進行方向、動作する方向に向けます。
toe-out、toe-inになると、膝の向きと異なり、回旋のストレスが入ります。
「膝とつま先の向き、動作方向は同じ向きにする。」
これは歩行も同じです。
これだけで痛みが減る方は多い。
注意点は普段、つま先がtoe-out の方は、急に正面に向けて起立させると痛みが増悪することがあります。
その時は、toe-outの角度を調整し、痛みが1番減るつま先の向きを一緒に見つけてあげます。
20-30度外向きであれば、楽な場合が多いです。
寝返りでの膝の痛みは、丸太様回転させれば痛みは減ります。
臥位の痛みは膝枕入れれば痛みな減ります。
たまに無い方がいいという方もいますが。
階段は、健足から登って、痛む足から降りれば痛みはありません。
手摺り使用による荷重負担を減らすことも大事です。
両膝痛い方は階段は難しいので、緊急な用事や理由がない限りは、制限した方がいいです。
最後に。
痛みが出るにはそれぞれの理由があります。
また、痛みが出る動作をする理由は何なのか?
それはその方の“背景”にあります。
背景も含めて診てあげる。
BPS modelの基本です。
「すべては患者さんのために」